目を開けると、レンの姿があった。すっかり熟睡している。僕はよしよしとその頭を撫でてから、小さく笑みを零した。
皆が交代で僕と一緒に寝るようになって少し。最初の頃はなんだか恥ずかしくて眠れなかったけれどようやく眠れるようになってきた。
僕が夜中に起きてしまうと聴覚が鋭い皆も起きてしまう。それがあまり好きじゃないから、専ら僕がベッドの手前に寝ている。これなら夜中に起きても皆の身体にぶつかることがないから。
僕は手を伸ばして黄色いペンを取って、ノートに丸を7つ描いた。皆と僕で7人。嬉しくて思わず笑ってしまったら、それと一緒に眠気もどこかへいってしまったみたいだった。
夜が終わるまではまだ時間がある。携帯でそれを確かめた僕は、またレンの方を向いてベッドに潜った。
二人で寝るからとわざわざ大きなベッドに買い替えたけれど、レンやリンと一緒だとどうしてもスペースが余ってしまう。くっついていれば問題はないのだけれど。
レンの肩にシーツを引っ張り上げると、きゅ、と眉が寄った。
レンを起こさないようにゆっくりと髪を撫でると、すぐにすやすやと寝息を立て始める。
起きた時に僕が起きてたら、きっとレンは少し不満そうな、申し訳なさそうな顔をして、ちゃんと寝たの?って聞くと思う。僕はちゃんと笑って、うん、って言う。
レンだけじゃなく、皆にそう言う。レンは知らないけれど、夜中に起きた僕がそのまま眠らないなんてことはよくある。カイトはさすがに知ってるみたいだけど。
「カイトしか知らないよね、多分」
唇だけ動かして呟く。
レンが僕のことをとても心配しているのは分かっているし、嬉しい。
嬉しいからいつまでもそこに甘えている訳にはいかないんだけど。
「……ますた…」
レンが小さく声を上げた。僕はきょとんとしてレンを見る。寝言みたいだった。僕がそのまま見ていると、レンはもぞもぞと僕に抱きついてきた。
「もう、可愛いなぁ、レンは」
僕はレンの頭を撫でて呟いた。このおかげでますます眠れそうにないけど、もうどうでもよかった。
レンがゆっくり眠れれば僕はどうでもいい。授業中に寝ちゃうかのしれないけど、そこはゆっくんになんとかしてもらおう。
心の中で謝って、僕はレンの髪に顔を押し付けた。ふわふわして気持ちいい。
無意識に手首を撫でていたことに気づいて僕は肩を竦める。服に隠れて見えないけれど確かにここにある僕の傷。
レンとリンの前では絶対にこれを見せない。だって苦しいだけだ。泣きそうな顔をさせるくらいなら見せない。止められない僕ができることはそれしかない。
「大丈夫、レン」
僕は小さく呟いて、レンを抱きしめて目を閉じた。


眠れそうにはないけど。