一度も思わない。死ぬとは思わない。死にたいとは思わない。ただ、死にたくなるだけ。お母さんの手を握りたくなったりとか、何かを食べたくなったりとか、そういう感じにすごく近い。でも死にたくない。行為は欲しいけど結果はいらない。
苦しさなら、多分生まれた時から知っていた。兄さんが優秀過ぎるから。僕は兄さんの事本当に大好きだから、劣等感は感じたけれども憎んだりしなかった。そんな馬鹿な事、嫌いだった。
手を切ると、カイトが泣く。リンは大丈夫?って、泣きそうになりながら聞く。レンは何も言わない。申し訳なくなる。僕のこんな行動がどんなに苦しめているか知らないはずはないのに、僕は止める事が出来ない。
一度、僕の手を縛ってしまえばいいのにと呟いたら、カイトがひ、と泣きそうな声を上げた。だめですマスター、と、震えた声が返ってきた。冗談だよと笑ったけれど、でもそうした方が悲しまなくていいと思った。
今もカイトが僕の隣で泣きながら眠っている。僕はカイトの頬を撫でて、苦しそうな顔に手を当てた。だから、こんなに苦しむなら僕は。

「………」



(冗談じゃなかった)
(僕は僕を殺す前に、3人も殺さなくちゃいけないなんて)
(絶対に死にたくなんてないのに)
(誰かに助けてほしいの、かな)